ナイスカイチャン緊急コラム

サラブレッドの宿命

〜タガノテイオー、中山の地に死す〜


  走る為に生まれてくる動物、それがサラブレッドである。 走る事が宿命とはいえ、時にはそれが残酷なドラマを生む事もある。
 
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 第52回朝日杯3歳ステークス。 来年のクラシックを目指す若駒、精鋭16頭が顔を揃えた。 その中でも名誉ある一番人気を獲得したのは、 前哨戦の東京スポーツ杯を快勝した、タガノテイオーであった。 強烈な末脚を武器にここまで4戦2勝、2着2回。 430kg前後という小柄な体つきは、調教師松田博資も心配していたほどで、 クラシックを狙うにはもう少し大柄になってほしいという願いがあった。 当日の馬体重は426kg、-4kgの馬体は確かに他馬と比べると一回り小さい。 しかし、ライスシャワーの例もあるように小柄でも時には凄いパワーを秘めた 馬もいるのだ。 しかし、その小柄な馬体が時に命取りとなる事をこの時はまだ知る由もない・・・。
 
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 朝日杯のゲートが開いた。 レースは前半1000mが58.4というハイペース。しかし素質の高い彼は難なく中団を進む。 そして直線、内をスルスルと抜けてくる勝負根性は桁違いの末脚を見せていた。 勝てる、誰もがそう思った瞬間、残り1ハロンで急に行き脚が鈍り、 メジロベイリーの強襲を受けた。 どうやらウインラディウスとの接触があったらしい。 しかし、それでも2着で入線。 1番人気の面目は取りあえず保たれた。 その時点では、最後1ハロンで脚が止まってしまっただけのようにも見えた。 いつもの事ではあるが、JRAのモニターではレース後の馬を映し出す事は あまりない。故障した馬なら、尚更である。 筆者が彼の故障を知ったのは、当日の夕刊スポーツ紙であった・・・。
 それはさておき、彼の脚はもう取り返しのつかない事になっていた。
 「予後不良」〜最悪の結果が彼を待っていたのだ。 500kg近いウインラディウスとの激突、これが原因だったのかどうかは 定かではないが、軽量馬の最期としてはライスシャワーとかぶって仕方がない。 ただ、ライスと決定的に違うところは、完走したという事である。 あの脚で完走した事は驚きを隠せないが、これはサラブレッドの宿命が成せる業でもあったのだろうか・・・。
 
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 ところで、話は逸れるが藤田騎手のとった行動、言動について色々と賛否両論があるようだ。 彼のレース後のコメントはこうである。
 
     「まともならぶっちぎっていた。
      残り1ハロン手前から急に走りがおかしくなって、ボキっといってしまった。
      おそらく、この中で僕の馬がいちばん強かったと思う。
      2着やけど、勝ったような気分ですね。」


 このコメントだけ聞くと、馬や関係者の事を全然思いやっていないようにも見える。 これはあるインターネット馬サイトのコメントだが、他の新聞や馬サイトのコメントを見ても、言い回しこそ微妙に違うが ほぼ上記と同じようなコメントだ。 しかし、現実には次の一文が抜けているらしい。
 
「本当に馬には気の毒なことをした」

 この1行があるのとないのでは大きな違いだ。 報道する人も、ありのままを伝えないと彼1人だけでなく、騎手を職業にしている人達の人間性を疑ってしまう事に なりかねないので、気をつけていただきたいと思う。 確かに藤田騎手と言えば、強気なイメージがあるので それを前面に出したかったのだろうが・・・。
 また、残り1ハロンで折れたのが分かったのにどうして追うのをやめなかったのか。 これはコメントではこう残しているものの、レース中は騎手も必死なので、 ゴールを目指す事だけを考えていたとも言える。 また、トップスピードになっているところで急ブレーキをかければ、 自分達は勿論、他の馬や騎手にも危険が及ぶ事となろう。 実際、藤田騎手の取った行動が正しいかどうかは別にして、 被害を最小限に食い止める為の最善の方法を彼は選択した、と筆者は考える。
 
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 走る為に生まれてくる動物、それがサラブレッドである。 タガノテイオーはその宿命の元、最後まで必死に走り抜いた。 この事は賞賛に値するものであるが、宿命が故の悲劇でもあるのだ。 「戦死」した彼の為にも、 来年のクラシック戦線が盛り上がる事を切に願いたい。 それが、彼にとって一番の供養、餞になる事だろう。
 
 さようなら、タガノテイオー・・・。
 

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